物語
遷都後の平安中期――。 世にも美しい、平安貴族の姫君がおりました。 姫君はあることに心を痛ませていたのです。というのも時の大臣との縁談が決まって から、可愛がっていた駿馬・今帝駒(きんていごま)が暴れるようになってしまった からです。 心配していた姫は、ある夜、今帝駒が悲しくいななく夢をみます。 そして間もなくして、姫はなんと懐妊してしまったのでした! 縁談後前の男を知らぬはずの姫がなぜ懐妊したのか? 姫は今帝駒と通じてたのではないか――? 嫉妬に駆られた大臣は激怒し、馬屋に入って今帝駒を殺そうとします。 大臣を止めようとする姫・・・・・・。彼女に暴力を振るうのを目の当たりにした今帝駒は、 姫を守るため反対に大臣を喰い殺してしまいます! 結局、馬と通じた罪をきせられた姫は、 虚船(うつぼぶね)に乗せられ海へ流されてしまいました。 船は潮の流れのままに、奥州宇多郡の浜辺へ流れ着きました。 やがて月満ちて姫は一子を産み落とします。 しかし――生まれた子の顔はあまりに馬に似ておりました・・・・・・! 姫はわが子の顔を見、驚きのあまり病気になって死んでしまったとさ。
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